たなかみさきのロマンポルノ季候

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2022.04.29

イラストレーターたなかみさきが
日活ロマンポルノの映画の中から
おすすめの作品を
四季折々の感性で描く
月刊イラストコラム。

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2022.04.29

黒薔薇昇天


岸田森さん演じる映画監督に
言いくるめられ、詐欺のような形で谷ナオミさん演じる
婦人がどんどん撮影にのめり込んでいくのですが
谷ナオミさんの匂い立つ魅力が凄まじく、彼女が全てを
コントロールしているようにも思えるくらいです。

映画出演の交渉のシーンは非常にしつこく撮られていて
70年代の街の構造や、その時の季節感、住処などが生々しく長回しで
見ているだけで疲れるくらい撮られていたのが印象的です。

私がイラストにしたシーンは監督が海外で撮った映像を
谷ナオミさんに見せているシーンです。
過激な映像に彼女は傘で視界を覆うのですが投影しているので
傘の内側に映像が映りよく見えてしまう。
自身、または他者の欲望とメタ的に触れ合った瞬間に見えました。

この連載は不定期更新でお届けします。


本日の作品

黒薔薇昇天

黒薔薇昇天

わいら、ゲージュツ作ってますねん! 「SEXの美」を求めて、ブルーフィルム芸術に酔った男の執念と女の哀歓!!

原作は藤本義一 の『浪花色事師=ブルータス・ぶるーす』。大阪のよどんだ空の下、法の網をくぐりぬけながらブルーフィルムに涙ぐましい努力をはらう陰の映画人たちのおかしくも、悲しい生きざまを、巨匠・神代辰巳が描くロマンポルノ! 主演は、熟れきった女の魅力でスクリーンを圧倒する谷ナオミ、『(秘)色情めす市場』の芹明香、そして岸田森と神代ならではの異色の顔合わせ。原作、監督、配役と三拍子揃った豪華傑作。

黒薔薇昇天