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『手』 第52回ロッテルダム国際映画祭 上映レポート

松居大悟監督作品『手』が、現在開催中の第52回ロッテルダム国際映画祭・ハーバー部門に招待され、現地時間131日に行われたプレミア上映イベントに松居監督が参加いたしました。現地からオフィシャルレポートが届きました。


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松居監督作品のロッテルダム国際映画祭への出品は、『アズミ・ハルコは行方不明』(16)以来、2度目の出品となり、今回、松居監督は、初めて映画祭へと参加いたしました。

舞台挨拶のチケットが完売となる大盛況ぶりで、男女問わず幅広い年齢層の観客が来場。上映前の舞台挨拶では、「ロッテルダム国際映画祭への出品は2回目ですが、初めて現地に参加できて嬉しいです。今回、ロマンポルノ50周年ということで制作されることになり、現代に男女の価値観を更新して作ったのが本作です。今を生きるさわ子を楽しんで頂けたら幸いです」と喜びを語りました。

上映中は、さわ子がおじさんコレクションを開くシーンなど、多くの場面で笑いが起こるほどの大反響の様子で、上映後には大きな拍手が沸き起こりました。

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続いて行われたQ&Aセッションでも多くの質問が寄せられました。

Q:「本作は本が原作となっているが、なぜハッピーエンドにしなかったのか?」

A(松居監督):「自分自身としては、ハッピーエンドにしたつもりです。主人公のさわ子は自分の中でたくさんの枷をつけていたが、すべての荷をおろして、ようやく本来の自分として生きていけるというエンディングにした。」

Q:「なぜ本を題材にしたのか?」

A(松居監督):「この原作でオファーをいただいたときに思ったのは、どうしたら10分に1回の性的描写を入れられるのかということだった。しかし、そういうハードルがあったからこそ、挑戦しなければいけないと思った。」

Q:「この映画では、題名にもある通り「手」が大きなテーマだと思うが、監督が最も伝えたかったメッセージは何か?」

A(松居監督):「明確な正解はない。見た人それぞれの解釈がある。自分自身の考えでは、さわ子は最初お父さんの手に抱かれていて、そのうちに自分を抱きしめてくれる手がなくなっていって、誰かの手を求めていたのだと思う。また、老いていっても、手というのは欲望を最も素直に表現するものであり、手は嘘をつくこともあれば嘘をつけないものにもなるという矛盾をはらんでいるものであるというように、いろいろな解釈があると考えている。手はコミュニケーションの始まりにもなる。」

観客からの質問に真摯に答えられた松居監督、大きな拍手が送られ舞台挨拶は締めくくられました。

「ROMAN PORNO NOW」第一弾作品『手』は全国順次上映中。また、各種サービスにて配信中。さらに、『⼿』『愛してる!』『百合の⾬⾳』のBlu-rayDVDと、『ロマンポルノ・ナウ コンプリート BD-BOX』が428()に発売決定

■ロッテルダム国際映画祭
新人監督の登竜門的な存在として多くの若手映像作家の作品を紹介しており、毎年約600作品が上映され、来場者数は30万人を超えるヨーロッパでは重要な国際映画祭のひとつ。そのハーバー部門は、映画祭の中でも最新で最大のプログラムで、世界から集まる幅広い現代映画を紹介する極上のセクションとなっております。
『⼿』 作品情報
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そばにいる⼈を、めちゃくちゃに愛したいと、ときどき思う。

本作は、⼥性プロデューサーが「ロマンポルノ」を知らない世代にも観てもらえる作品にしたいと、今最も注⽬される松居⼤悟監督(映画『ちょっと思い出しただけ』(22)が東京国際映画祭の観客賞/スペシャル・メンションをW受賞)によって作りあげられた新時代のロマンポルノ作品。

⼭崎ナオコ―ラの⼩説「⼿」(『お⽗さん⼤好き』⽂春⽂庫)を原作に、⼥性の⼼情を繊細かつ⽣き⽣きと描く作家・舘そらみが脚本を担当。主演は『彼⼥はひとり』で、第13回⽥辺・弁慶映画祭の俳優賞を受賞した福永朱梨。共演のちょっとダサくて憎めないキャラクターを演じているのは⾦⼦⼤地(⼤河ドラマ「鎌倉殿の13⼈」、「魔法のリノベ」)。20代のリアルな男⼥の距離感を⾃然体で瑞々しく表現している。さらに、主⼈公の⼼を揺り動かす<おじさん>の魅⼒を、津⽥寛治、⾦⽥明夫らが愛くるしく演じている。

本パッケージの特典には、メイキング映像に加え、初⽇舞台挨拶の映像を収録し、松居監督×福永朱梨×⾦⼦⼤地のオーディオコメンタリーを収録を予定している。

【キャスト】
福永朱梨 ⾦⼦⼤地
津⽥寛治 ⼤渕夏⼦ ⽥村健太郎 岩本晟夢 宮⽥早苗 / ⾦⽥明夫
三上市朗 中村まこと 島⽥曜蔵 本折最強さとし 三島ゆたか 村上航 加瀬澤拓未 ⽬次⽴樹 池⽥恵理

【スタッフ】
監督:松居⼤悟
脚本:舘そらみ
⾳楽:森優太
主題歌:Ring Ring Lonely Rollss「スロウタイム」
原作:⼭崎ナオコーラ「⼿」(『お⽗さん⼤好き』⽂春⽂庫)
製作:⿃⽻乾⼆郎 / エグゼクティブプロデューサー:福家康孝
プロデューサー:結城未来 紀嘉久 加藤毅
撮影:⾼⽊⾵太 / 照明:秋⼭恵⼆郎 / 録⾳:⻄條博介 / 装飾:⿓⽥哲児 前屋敷恵介 / 編集:松⼭圭介 / ⾐裳:中泉貴⼦ /ヘアメイク:⽊⼾出⾹ / 持道具:加賀⾕悠⾐ / 助監督:⼭本敦貴 / 制作担当:⻑島紗知 / スチール:関信⾏

【ストーリー】
配信会社勤務のさわ⼦(福永朱梨)は、仕事にやる気もこだわりもない。恋愛は先送りにして、趣味はもっぱらおじさん観察で、写真を撮ってはコレクションしているほどの年上好きだが、⽗(⾦⽥明夫)とは折り合いが悪く、会話もほとんどない。天真爛漫な妹・リカ(⼤渕夏⼦)とは仲良く話す⽗を眺めていると、両親と妹の3⼈家族のように⾒えて、居場所を⾒いだせずにいた。どこか満たされない気持ちを上司の⼤河内(津⽥寛治)との関係で埋める⽇々。
そんなさわ⼦に、興味深そうに話しかけてくる歳の近い先輩社員・森(⾦⼦⼤地)。徐々に打ち解けていき、森の転職をきっかけに2⼈の距離は縮まっていく。さわ⼦がずっと抱えてきたモヤモヤを解きほぐしていく森に、今まで経験したことのない感情 が溢れだす――。

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