『ザッツ・ロマンポルノ 女神たちの微笑み』発売記念、みうらじゅん オフィシャルコメント!
日活ロマンポルノ製作開始45 周年記念「ロマンポルノリブートプロジェクト」の一環として『ザッツ・ロマンポルノ 女神たちの微笑み』を初ブルーレイ化し、本日10月4日に発売!
今回発売するブルーレイ版では、音声特典として、特別コメンタリー「みうらじゅんの『わが愛しのロマンポルノ!』」が収録されています。
コメンタリー収録後、みうらじゅん氏に行ったオフィシャルインタビューの模様を公開します。
【10月4日発売『ザッツ・ロマンポルノ 女神たちの微笑み』初ブルーレイ化 みうらじゅん コメント】
――オーディオコメンタリーの収録をされましたが。
みうらじゅん(以下、みうら):『ザッツ・ロマンポルノ女神たちの微笑み』は初見でした。紹介されてる作品の中には初見のものもありましたが、思い出深いのもたくさん入ってましたね。もう40 年以上前の記憶ですが(笑)。僕は高校の中間テストや期末テストが終ると必ず自分への“御褒美”としてポルノ映画に行ってましたからね。平日の昼間、ガラガラの映画館にポツンポツンとおっさんが座ってて、まだかわいい坊やだったからさ、僕の体を触りにくるの。それが怖くてね(笑)。ドキドキしながら見てました。そちらの発展場でもあったんでしょう。
――最初にご覧になったのは。
みうら:『生贄夫人』でしたね。3 本立ての一本が。入ったらいきなり『生贄夫人』をやってて。SM ってものは知ってたけど、最後は浣腸だからね。もう衝撃を受けちゃって。そのあともいろんな作品を観たけど、どこか物足りないんだよね。出だしでこれくらってる人間って、やっぱり人生変わるんですよ。全ジャンルのポルノが好きな人っていないと思うからね。でも当時は3 本立てだから。苦手なものもごっちゃに入ってる。いまは『ふんどし祭り』通過しなくても大人になれるけど、俺らは『色情海女 ふんどし祭り』を通過して大人になってるから(笑)。ジャンルは広いんですよ。いろんなところからエロを抽出できる才能を植え付けられた。童貞のときに全くリアリティのない世界を見せられてるからね。だから、今でもいろいろしゃべれる。いろんなジャンルの処方箋をいただいているので。
――改めてやっぱりこの日活ロマンポルノはすごかったなというのは。
みうら:日活っていったら、やっぱり僕はSMモノなんですよ。ほかの映画会社でもいろいろ作ってたけど、SMっていうジャンルをよりポップにしたのは日活の功績だと思いますよ。それに大罪ですよ(笑)。
――みうらさんが好きな監督は。
みうら:うーん、西村昭五郎監督ですかね。文芸的なニオイがして後に評価があがったり、女子に受けたりしてる作品もあ
ると思いますが、やっぱ童貞的には文芸なんて縁遠くてね。ストレートな調教モノにグッときてました。
――女優さんでは谷ナオミさんのファンだとか。
みうら:そうですね。SMといえば谷さんですからね。あとは飛鳥裕子さんとか、麻吹淳子さんとか。『生贄夫人』は違うけど、団鬼六さんシリーズがいいですね。今でもたまに見てますから。日活の女優さんは、みんな演技がうまいですよね。AV が出てきて本番時代になったけど、ロマンってきっと疑似の意味だと思うから、隠してやらしいほうが好きな世代っていうか。モロ見えはね、やっぱりイヤなんですよ。日本のエロは恥ずかしの文化だから。AV の登場には日活ロマンポルノもやられたけれど、でも疑似でやってるすごさっていうのはあると思うんですよね。素人じゃなく女優にこだわりがあります。
――恥ずかしの文化ですか。
みうら:美保純さんの『ピンクのカーテン』からゴロっと変わったんじゃないですかね。女の人が「勃ってる、勃ってる」っていうような時代になった。ただ、昔は逆に『ふんどし祭り』みたいな弾けすぎの文化もあったんだけどね。いま町にポルノのポスター貼れないでしょ。昔は『生贄夫人』ですら貼ってあったよ。俺、夜中に剥がしに行って、いまだに持ってますからね。日活ロマンポルノの頃はある意味ファンタジーですからね。『東京エマニエル夫人』とか、日活ロマンポルノはファンタジー巨編として観るべきだと思います。昔の怪獣映画みたいな、あの感じ。時代背景も、もう二度と、呼び戻しはできない世界観だと思いますね。
――今回のパッケージはいろんな引き出しがあって楽しめますよね。
みうら:ここははっきり断っときますけど。抜けない、抜けるわけない。抜くんじゃない、感じるんだ!みたいな。ブルース・リー的なのが今の日活ロマンポルノを見るコツです。あの時代特有の言い様のないセンスが映像にあるんですよ。文化なんですよ。不思議なんだけど、そういう不思議なエロを、僕らの時代は普通に観られた。今の人は最初から不思議なものだと思って観るんでしょうが。あといまはインサートの時代だけど、日活ロマンポルノはエロ含蓄のほうね。脳がピリピリするような妄想がいっぱいだから。
――やはり思い入れが強いようですね。
みうら:思い入れというか、大切な思い出ですよね。セックスをまだしてなかったですからね。エロって。ロマンって、妄想って、童貞の財産だと思います。
――ただこれだけ今も人気があるというのは、大人になったからこそ分かることもあるんでしょうか。
みうら:それはいっぱいあると思いますよ。もう1回聴き直してみると違うことを思う。今の人は次々新しいものにいっちゃうけど、観返すとまた違う感想を持ちますね。このパッケージがその入り口になったらいいですよね。何年の作品でとか、そういうデータはどうでもいいんですよ。データじゃなくて、自分の記憶。ここで勃ってたなとか。それはね、本当の自分探しですよ(笑)。歳取って自伝とか書く人がいるけど、ロマンポルノを見直さないと僕の場合、書けないですよ。もう1回自分の性と向き合わなきゃね。
――AV にうんざりしている世代にも日活ロマンポルノがいいのでは。
みうら:僕くらいの年代になったら、もう射精とかどうでもいいし。カウパー止まりでOKになります。気持ちよかったらいいわけだから、エロって。カウパーが出てるくらいで止めといたほうが健康にも絶対にいいんじゃないでしょうか。オナニーだってもう射精しなくていいですよ。勃ち上がれ、70 年代、童貞こじらせ男子。カウパーでいいじゃないか!ってキャッチコピー入れといて下さい(笑)
コメンタリーをちょっとだけ音声でお聞かせします!: http://www.nikkatsu-romanporno.com/bddvd80/thatmj/
日活ロマンポルノ45 周年メモリアルBD/DVD 特設ページ: http://www.nikkatsu-romanporno.com/bddvd80/