1976年5月 1日 公開
-
-
「妻たちの午後は」より 官能の檻
- 主演
- 宮下順子
- 出演
- 渡辺外久子 /北斗レミカ /古川義範 /山田克朗 /花上晃 /織田俊彦 /島村謙次
- 監督
- 西村昭五郎
- 脚本
- 田中陽造
- その他
スタッフ - 原作/中山あい子 企画/栗林茂 プロデューサー/伊地智啓 撮影/姫田真左久 照明/熊谷秀夫 録音/秋山一三 編集/西村豊治 美術/川崎軍二
- 音楽
- 蓼科二郎
- 解説
- 熟れた季節のけだるい昼下がり
人妻心の隙間に
官能がせめぎあう… - あらすじ
- ■解説
マンポルノを代表する名花・宮下順子の官能したたるエロス作品。
ロマンポルノ初めての女流作家原作もの。「昭和娼婦伝」「漂泊のおんなみち」等、一貫してドロドロとした女の情念、業を描き続けている中山あい子。その世界は、エロスを追い求めるロマンポルノの格好の素材であり、女の眼を通してしか透視できない性が、文芸の香り高く映像化されている。
生活に倦む人妻に、突然襲った官能の嵐!
あの日に帰りたい…。生きる事に、愛する事に、ひたむきであったあの若さ。
求め得ずして、時の流れのままに失ったあの愛を、いま確かめることができたら…。 主演には、日活のトップ女優、宮下順子。共演は渡辺外久子、北斗レミカほか。監督はロマンポルノ第一作『団地妻 昼下りの情事』を皮切りに、80作以上のロマンポルノ作品を監督したマエストロ・西村昭五郎。脚本は日本映画を代表する名脚本家・田中陽造。撮影は名手・姫田真左久。初期ロマンポルノの質の高さを証明する名篇。
■ストーリー
時は何事もなく静かに流れていく。佐倉静江の妻の座も平穏そのものである。静江の友人で名古屋に住む正子は、静江をアリバイ工作に利用しては浮気のために月に数回上京してくる。その正子の浮気の相手が、瀬木明だと知った静江に、かすかに嫉妬の思いが走った。瀬木は高校時代、陸上選手として千五百メートル競技の目標タイムに人生の全てをかけた男だった。数日後、静江は瀬木と会った。彼は捕獲器に巨大なネズミを飼っていた。ネズミを水中に沈めながら「帯を解け!」と命じる瀬木をののしる静江。だが、静江は荒れすさんだ現在の彼を愛しく感じながら体をあずけるのだった。瀬木の隣人の直子の愛も屈折していた。愛情も取り引きと考える一流商社マンの夫に我慢ができず別居している直子は、彼女にまだ未練のある夫がアパートの前のブランコにゆれながら彼女の部屋をながめているのを知りながら、その部屋で別の男と情事にふけっているのだった。数日後、正子が行方不明になった。上京した正子の夫が静江に瀬木のアパートに案内させた。静江も原因は瀬木だと思ったが、正子は来ておらず、逆に瀬木は、自分を疑った静江をなじった。正子の夫を送った静江はその足で瀬木のアパートに戻った。だが、公園で静江を待っていた瀬木は、学生たちの内ゲバにまきこまれ血まみれで倒れていた。彼は潜かに過激な思想活動をしていたらしい。死に際に瀬木はつぶやいた。それは彼の生きる目標だった千五百メートルの目標タイム…。その意味は静江だけが知っていた。やがて、静江は、瀬木の愛したネズミを前に衝動的に別の男に抱かれ、瀬木に想いをはせながら、絶望的な淫愛にふけるのだった……。
(2023年9月6日 DVD発売) - 販売・配信