みうらじゅんのグレイト余生映画ショー
in 日活ロマンポルノ アーカイブ

毎月、衛星劇場にて放送されている、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する
「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」。
ロマンポルノ誕生50周年、番組誕生10周年を迎えるにあたって、過貴重な番組アーカイブから、公式書き起こし。(隔週更新予定)
衛星劇場を含む最新の放送情報などはテレビのページよりご確認ください。

これまでの記事はコチラからご確認ください。



第19回「オカルト・ホラー」

20138月放送 オカルト・ホラー
どうも、みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー In 日活ロマンポルノ-民俗学入門−」。今回は、とても勉強になる回だと思います。「オカルトSEX」ということについて、講義したいと思います。

Mj_19_01.png
その時、股間がうずいた。今宵の教材は、摩訶不思議な官能の世界。『セミドキュメント オカルトSEX』。神秘と隠微が入り交じる超常現象。未だ解き明かされない謎のSEX FILE。パンドラの箱を開けた時…。男の秘境がそそり立つ…。その瞬間新たな歴史がはじまる。

今回、紹介する作品は『セミドキュメント オカルトSEX』、いったいどんな作品なのでしょう。1974年製作ということで、ピンと来た方も多かったと思います。当然、あの方のことでしょうね。この頃に、ウィリアム・フリードキン監督の『エクソシスト』(1973年製作 第46回アカデミー賞の脚色賞と音響賞を受賞)が公開されて、世界的にオカルトブームが来ました。その時に撮られた作品が本作ですね。監督は当然、山本晋也監督(笑)!当然ですよね!脚本も山本晋也監督!当然ですよね!

Mj_19_02.png
「セミ」っていう言葉も当時流行りましたね。「セミ・ヌード」と言って、ちょっとだけ脱いでるとか、そういうことす。ミーンミーンって鳴く方じゃないですよ。ちょっとだけドキュメント要素が入っているということで、本編見てもらうとわかると思いますけども、ちっともドキュメントじゃありません。(笑)

>オカルトSEXとはなんでしょう?まず、講義する前に知らなくては、ならないのは1973年頃にユリ・ゲラーが来日したことです。

■お茶の間が沸いたユリ・ゲラーとテレパシーブーム

Mj_19_03.png
当時ですね、日本テレビの「11PM」にも出演されて、大ブームとなりました。その、ユリ・ゲラーさんがスプーンをバンバン曲げていかれてくね、とても調理関係の人が困るという事件が起こりました。曲げるのは良いけれど、最終的に先まで折るということで、「この人、一体何しているんだろう」と当時、僕は思いましたね(笑)。曲げるだけではなく、折っていくということで、「テレビの前のみなさんもできますよ」って伝えて、視聴者の方が「曲がった」なんて言って、テレビ局に反響がバンバン入ったり。ユリ・ゲラーが念力を送って、止まった時計が動き出したなんていうこともありましたけど、真偽のほどはどうだったんでしょう?僕も当時見てましたけど、ちっとも不思議なことは起こりませんでした。世の中には不思議なことが起こる人と、起こらない人がいるっていうことです。それをユリ・ゲラーさんが教えてくれました。

その後に、ユリ・ゲラーさんはルームランナーという健康器具の宣伝に出らたりして、なかなかの商売人でした。その大ブームを受けて、『セミドキュメント オカルトSEX』が撮られたということですよね。

■自然に右手が動き出す世にも淫らなオカルトの世界
ユリ・ゲラーは「テレパシー」なんですけど、この作品では「ポルノパシー」という言葉がでてきます。映画見ながら書き起こしてみたんですけど

「性波を送る超能力現象。通常、ポルノパシーは性器内で、その不思議な現象が起こり、現代の科学が探り得ない未知の能力」だそうです。
Mj_19_04.png
この作品、オープニングで驚かされるシーンがでてきます。プッシー・トークのシーンでございます。このシーン、驚きました。「私のこと無視して、お尻のほうへ進もうとしたわ。」とか言ってこれが抗議していくっていうことから、物語が始まるんですよね。うーん、よく分んないでしょ(笑)。

Mj_19_05.png
この映画の中で何シーンも、何ていうんですかね、シュールなシーンがでてきます。このイラストを映画を観ながら描いたんですけど、現代美術だということが、よくわかりますよね。こういう不思議なトリップしたような世界観が何回もでてきます。

Mj_19_06.png
それと、この映画で最も重要なのは、ホテル目黒エンペラーが出てくるってことです。これ民俗学的には重要で、お城のような外観のラブホテルが映ります。内装も映りますよ。これ民俗学的には、とても貴重です!

そして、この映画で一番の名言は「ボール・キック たまける」ってことです。まっこんな事ですよね。『セミドキュメント オカルトSEX』十分にお楽しみくださいませ。今月の4作品を紹介したいと思います。

セミドキュメント オカルトSEX
当然、山本晋也監督ということで、ワクワクして観てください。
色情妻 肉の誘惑
1976年製作。SM好きの方はぜひとも、御覧くださいませ。
処女のはらわた
1986年製作、監督はガイラさん。この頃はイラストチックのポスターで、スプラッターチックな作品でございます。
美女のはらわた
1986年製作、またもガイラさんの監督作でございます。すごい作品でございますけども、「はらわた」ということは『死霊のはらわた』などが公開された頃なんでしょうか?しっかりした映像美をお楽しみ下さい。
※各作品はamazonFANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です。

それではあなたもグレイト余生を!

Mj_19_07.png

出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活


 衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」を放送!
※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集


コラム一覧へ