みうらじゅんのグレイト余生映画ショー
in 日活ロマンポルノ アーカイブ

毎月、衛星劇場にて放送されている、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する
「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」。
ロマンポルノ誕生50周年、番組誕生10周年を迎えるにあたって、過貴重な番組アーカイブから、公式書き起こし。(隔週更新予定)
衛星劇場を含む最新の放送情報などはテレビのページよりご確認ください。

これまでの記事はコチラからご確認ください。



第14回「冠に名前が来る人」

■2013年2月放送

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どうも、みうらじゅんと申します。「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ -民俗学-」。今回のテーマは冠に名前が来る人、例えば洋画の邦題「ブルース・ウィリスの」と【の】がつく作品ってあるでしょ。今回は名前を頭につけたタイトルを4作品紹介したいと思います。

カルーセル麻紀 夜は私を濡らす』、『一条さゆり 濡れた欲情』、『美加マドカ 指を濡らす女』、『田口ゆかり ザ・ケイレン』の4本をお送りしたいと思います。

その時、股間がうずいた。今宵の教材は、『カルーセル麻紀 夜は私を濡らす』。男心を刺激する、真夜中のファンタジスタ。神のみぞ知る、魅惑の性癖にせまる。普通の女に飽きたとき、冒険したい夜もある。その瞬間新たな歴史がはじまる。

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今回紹介する作品は、『カルーセル麻紀 夜は私を濡らす』。1974年の作品なんですけども、若い方の中には、ピンとこない人も多いと思います。いや、若い方がこの番組を観てらっしゃるなんて考えられないので、あくまで、おさらいで。カルーセル麻紀さんについてです。

■カルーセル麻紀から学ぶ女子力UP攻略法

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こういう方ですね。まあ別に、絵にすることもないんですけども。マキと言えばカルーセル麻紀、または「じゅわいよ・くちゅーるマキ」という時代がありました。70年代に僕が記憶している限りでは、モロッコという国で、性転換をされたと聞いております。そんなカルーセル麻紀さんに憧れた方も多かったと思います。コレ、私物なんですが、(カルーセル麻紀のレコード「南京町から」を出す)、とうとう手に入れたんですよね。

好きだったんですよ。カルーセル麻紀さんのルックスが。一時期、僕も女装にハマってまして。「クイーン」って専門誌を買ってみたんですが、カルーセル麻紀さんがどんだけ美しいのかよく分かりました。若い頃に、ひょっとして自分は女性的なところが強いんじゃないかって思ってたんですが、女装をしてみて、全くそのセンスの無さにガッカリしました。結局、僕は本格的な女装癖があったわけではなくて、70年代初頭のグラムロックに憧れていただけでした。その頃、デヴィッド・ボウイやミック・ジャガーもそうでしたけど、そういうブームがあったんです。そのグラムロックと勘違いしてたんですよね。

僕と「空耳アワー」でおなじみの安斎肇さんと、いとうせいこうさんとで組んだ「バギナーズ」って女装ユニットなんかもやりましたけど、やっぱりファッションだけで、根にそのセンスがないというところで、コンプレックスがありましたね。のちに、本格的な人にお会いした時に「あなたはがんばっているけど違うのがすぐに分かるわよ」って言われました。

今回紹介する『夜は私を濡らす』とは、どんな映画なんでしょうか。観てもらえば分かるんですけども、「オトナってなんだ?」っていう疑問ですよね。カルーセルさんが歌手としてデビューするストーリーになっているんですけども、そこに出てくる作詞家の先生っていうのが。(イラストを出す)。

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銀座のバーみたいなところで、こうなんかブランデーとかを飲んでいる、作詞家の先生みたいな人が出てきます。これで、こういう人を当時オトナだなって、なんか汚いなあって思って観てました。「あのコ、なかなかいいじゃないか?」ってそういうことを言うんです。大概グラデのついたサングラスを付けていて、ちょっと襟足が長いんですよね。自家用のクルーザーを持っていて、縞模様のスーツを着ている場合が多いですよね。それで、ホステスさんから「先生ステキ」って言われている人の毒牙っていうのですかね、カルーセルさんが純情な故に、ハマっていってしまう。

これは僕は、やっぱりもう一度、仏教を見直すべきじゃないかと思う映画だと思いましたね。皆さんも心して「オトナって何なんだ、自分は大人に本当になりたいのか?」っていうことを心にちょっと思いながら見ていただくといいんじゃないかと思います。

それでは、
カルーセル麻紀 夜は私を濡らす(1974)

一条さゆり 濡れた欲情(1972)
一条さゆりさんという方は当時、有名なストリッパーの方でした。

美加マドカ 指を濡らす女』(1984
美加マドカさんは80年代の有名なストリッパー。ストリップ界のスーパーアイドルとして、LPレコードも出されており、僕も持っております。

田口ゆかり ザ・ケイレン』(1986)
この方も有名なストリップの方で、裏ビデオ界、裏本界の女王とも言われていた人です。

※各作品はamazonFANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です。

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それでは、あなたもグレイト余生を!

出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活


 衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」を放送!
※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集


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