WEB採録

2001.1.19(金) 於:渋谷パンテオン

日活ロマンポルノ生誕30年『サディスティック&マゾヒスティック』完成公開記念

「新世紀エクスタシーNIGHT」詳細レポート 

第1回(2/1up)

レポートその1 〜ロマンポルノを一晩中見るために、オヤジとギャルが集まった!
レポートその2 第1部トークショー〜中田秀夫はウミウシだった!

 

第2回(2/9up)

レポートその3 第2部トークショー 壱 〜飲んだくれトークが始まった!

 

第3回(4/10up)

レポートその4 第2部トークショー 弐 〜「田中さん、寝てる場合じゃないですよ!」

第4

巨人達の脱線トークショー、今回はハチャメチャ事件続出の現場編です。
女優に泣かされた伝説?をもつ金子監督が、ついにその真相を自ら告白します。

今回は面白くて熱が入り、長めのレポートですのでじっくりとどうぞ。


トーク中も次々とビールが運ばれてくる!

レポートその5 第2部トークショー 参

〜これがロマンポルノの現場だ〜
死にそうな女優、泣き出す監督、そして風呂桶がない!

 

ゲスト: 小沼勝(監督)、田中登(監督)、小原宏裕(監督)、荒井晴彦(脚本家)、相米慎二(監督)、中原俊(監督)金子修介(監督)、じんのひろあき(脚本家)、中田秀夫(監督)
司会: 山本晋也

田中「『監督っ、殺してやる!』って喚いてるのが聞こえてくるんですよ。(笑)」

中原俊(監督):

マイナス20度位で原っぱの真ん中にある家の中に、宮下順子を裸で逆さ吊りにしたんですね。
そこまで行くのに歩いて行かなきゃいけないんです。雪の中を15分くらい、しかも裸でなきゃいけない。

で、死ぬんじゃないかなって(場内笑)。死んだらどうしようって皆で対策練った憶えがあります。

田中登(監督):

でね、宿へ帰ったらね、今中原君逆さ吊りって言ったけど、逆さじゃなくってちゃんと正規で吊ったんだよ。

中原: あ、そうですか(笑)。
田中:
『責める!』('77)
確かに正規に吊るされている

結城(プロデューサー)が傍で見ててね、「田中、カットかけたらすぐ運ばないとやばいぞ」って言うんですよ。でね、宿へ帰ったらね、宮下順子が「監督っ、殺してやる!」って喚いてるのが聞こえてくるんですよ(場内笑)。
「監督っ、殺してやる!」ってのが女優から聞かされたのは初めてでね。僕みたいな優しーい監督がね(場内笑)。

戦場が原で山谷初男がこうやって座ってるんです。(と椅子からおりて舞台に座り込む)
それで目の前に順子が長襦袢を零下20度の風にひらひらさせてる。(と今度は宮下順子のシナをつくる)そうするとね、(芝居のまねをしながら得意げに)映画の場合寒さを出すのはこれ難しいんです(場内笑)、暑さは出しやすい、寒さが難しいんです。

日光の残照を、地吹雪がこうさあーっと舞っていくんだ、その中を長襦袢がばあーって舞い上がって順子が「私、ふあ、ふあ、ふあわわ」って風の合間に何か言ってるのが途切れ途切れに聞こえてくるのが…(とかまわず舞台で寝転がって1人再現を続ける姿に場内は大爆笑の渦となる)
山本:

ちょっと、どうでもいいすけど、これ一応お客さんいるんだから(笑)。そりゃ、気持ちはわかりますけどね。

田中: それでね、そうか中原ついてたか、中原あれについてたって今始めて気づいた(笑)、思い出したよ。
僕ね、ここにいる中原ちゃんと金子ちゃん、それから那須(博之)池田(敏春)、このあたり助監督の試験でね、僕が入れたんですよ。だから良く事情を知れば、俺に足を向けて寝られないはずなんだ(場内笑)。
それを、『責める!』の作品名を忘れるとは…。
中原:

(笑)

田中:

監督室に中原と那須が来てね、よろしくって言ったのを今思い出してね、僕らいい人を入れたなあと。
小沼も小原ちゃんも試験(官)やったけど、選んだのは節穴じゃなかったね。

山本:

なるほどねえ。

田中:

相米ちゃんはねえ、日活の助監督試験なんか受けたって受かるはずがないんだ(場内笑)。
英語だの、常識問題だのやったってねえこの人は入らない。

ゴジ(長谷川和彦)君とか彼はフリーでやってた。僕の『好色家族 狐と狸』ってのやってくれたね。

監督はねえ僕思うんだけど、「けしかけ派」とねえ、「ワンマン派」とねえ、「泣きを入れる派」とねえ、「無言派」がいるんですよ。

「けしかけ派」で凄いってのは小沼。これ「けしかけ派」なんだな。

笑いの止まらない相米慎二監督

それから相米ちゃんはね、ごちゃごちゃいってるけどこれ「けしかけ派」なんだよ。
何にも掴まんないようなこと言ってねえ、役者に青っぽくこれこれこういうシーンだからこうやれなんて言うタイプじゃないんだよ。別なこと言うんだよ。
そっから役者に考えさせていくけど、本質は「けしかけ派」なんだ。

「懇情派」(「泣きを入れる派」)はね、クマさん(神代辰巳)。
俳優に、 『なんかなあい?なんかやってよう。もっとなんかあるんじゃないの?もっとあるはずだけどなあ(場内笑)』
これ「懇情派」。

 



金子「(女優を)説得してるうちに、泣いちゃったんですね、私は。 頼むからやってよって、泣いちゃったんじゃないですかねえ。そんなに覚えてないんですけど…」

 

田中:

なんか話に聞いたら金子が女優さんに芝居つけて思い通りにやってくれないから泣き出したって聞いたんだよ(場内笑)。

山本:

これはね俺も訊きたかった。

田中: 女優さんが思い通りになってくれないから泣いた、これはまたいい話だねえ(場内笑)。
山本: おそらく日本映画監督史上ですねえ、女優さんが泣いたんじゃないですよ、監督が泣いたんですから(場内拍手)、こんなことは…
田中:
田中登監督と金子修介監督

俺の思う通りにやってくれないから泣いた、僕が金子を採ったときにね、金子の創作見たらね、あるんですよそれが。
まあ、この人採ってよかったなあ(場内笑)。
やっぱり女優さんがやってくれないから泣けてくる監督ってのは、本物ですよ。

「ワンマン派」ってのは黒澤(明)さんタイプ。俺なんかはその末端になるのかもしれない。
自分の思い通りにいかないとイヤなタイプなんですよ。自分で作っていかないとイヤなの。
現場に来た時はキャメラマンも俳優さんも助監督もみんな出来てると思って現場に出るタイプなんです。

だいたい監督ってのはこの4タイプ。小沼の「けしかけ」なんて最たるもの。
黒沢(直輔)がね小沼組ついたら性格変わったらしい、助監督の性格変えるくらいの現場なんだから。
俺は「ワンマン派」だけど、だけどね誰にも言わないけど俺苦労はしてるんだよ(場内笑)。

小沼: (隣からマイクを取り上げ)「ワンマン派」だからマイク渡しちゃうともうどおしようもないんだよ(笑)。
えーと、それで金子さん、泣いた?泣いたんですって?(場内笑)泣いたらその女優さんは演技が出来たんでしょうか?そこのところを…(場内拍手)。
金子修介(監督):

うーん……、

水島裕子がですねえ、『いたずらロリータ 後ろからバージン』という映画でですね、十字架に縛られるシーンがあったんです。


それで十字架に縛られるのがイヤだって言うんです。
現場で言い出したんです。

それをあの、説得してるうちに(ニガ笑い)…、泣いちゃったんですね(場内笑)。私は。

えー、ま、頼むからやってよって、泣いちゃったんじゃないですかねえ。
必ず水島裕子言いますよねえ(場内笑)。

そんなに覚えてないんですけど、でも泣きましたよねえ。
刺激して泣いた方がやってくれるかなって(笑)、考えてたような気もしますけど…。

山本: それも演出のうちなんだ。
金子:

て、自分では思ったりもしましたけど、まあそんときは夢中だったんじゃないですかねえ。

必ず水島裕子がTVで言うんで、これちょっと困るんですけど(笑)。

山本:

ということで、事実であることを確認しました。

 


中田「『あの桶、邪魔じゃない?』(笑) その時、僕の心にナイフが…」

 

山本:

さて、中田監督。あなたどんどん飲むねえ。

中田: ちょっと、緊張してて…
山本: このかたは小沼監督の現場に助監督でついてて、3回くらい殺意を抱いたそうで。
中田:

『箱の中の女2』という作品で、万座温泉が舞台だったんです。

古い旅館でのレイプシーンというのがあったんですね。
小沼監督はレイプシーンとか大変な撮影の前に字コンテ表(撮影内容が書かれたメモ)を出されるんです。
そこにメモ書きで「クラシカルな風呂桶」と書いてあったんです。

僕もそれを見てたんだけど、まあそんな旅館だからあるだろうと…。

山本: 旧い温泉旅館だからね。木のね、銅(あかがね)のついた桶だ。
中田:

ええ、東京からは持って行ってなかったんです。まあかなり旧い旅館だったんで。

で、朝起きると監督が、「中田、風呂桶はあるな。椅子もあるな」、ドキッっとして、探すとよく銭湯にある あの黄色いプラスチックの(笑)、旧い温泉の旅館なのによりによってあれしかない、ケロリンしか…(場内笑)。

まいったなあ、と思って先輩の助監督にすいませんってカチンコ預けて探しに走って。
預けたのを知った小沼監督は「カチンコマンがカチンコ捨てるとは何事だ、あいつは助監督のなんたるかをまったく分かっていない」と、僕が走りまわっているあいだ怒ってたらしいんですが、僕はとにかく万座温泉の旅館を10軒くらい探しまくる。
けど無いんですね、旧い旅館なのに。
で、なぜか新しいホテルの「聚楽」、あのマリリンモンローもどきが「じゅらくよーん」ってやってた(笑)あのホテル「聚楽」にやっとあって、ああよかったって、間に合ったんですよ撮影に。

それでようやく見つかったその木の風呂桶をセッティングして、よしっと。
風呂に入ってレイプシーンが始まるんですが、小沼監督が開口一番キャメラマンに、 「あの桶、邪魔じゃない?」(場内笑)
その時、僕の心にナイフがですね…(笑)。

小沼: これは普通ですよね(場内笑)。
中田: まあ、確かに監督の立場になるときっとそうかも…、しかしそれにしても言えないんじゃ…。
小沼:
箱の中の女2('88)
確かに桶はどこにもない

いやプラスチックはさ、勿論それはもうダメだってのは当たり前なんだけれど、木の桶がね こうきちんと並んでたんですよね。
なんかすごくね家庭的というか、あったかい感じがしたんだよね。それで邪魔だって(笑)。

まあ1日中駆けずり回ってたかどうか知らないけど、最初から ねえ、用意してあってどうするかってなら分かるけど、多分1日どっかで遊んでたんじゃないかと思いますよ(爆笑)。

(続く)

 大人気のこのコーナー、次回はいよいよ惜しまれつつ最終回です。

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