WEB採録

2001.1.19(金) 於:渋谷パンテオン

日活ロマンポルノ生誕30年『サディスティック&マゾヒスティック』完成公開記念

「新世紀エクスタシーNIGHT」詳細レポート 

渋谷パンテオンという日本でも有数の大劇場で、ロマンポルノが上映される!

こんなとんでもないことが1月の19日に行われてしまった。

関係者さえ暴挙と言いきったこのイベントの詳細をお届けします。

ロマンポルノは数年前に、飽きられて終焉した映画です。おまけにビデオでも見られる旧作のみの上映、今時新鮮味のないオールナイトイベントで妙齢のお嬢様などは見向きもしないだろうという巷の声に、ひょっとしたらスタッフの方が多いトホホ…なイベントになるのではないかと戦々恐々としていた我々は、開演前のお客様の行列に声を失った。


東急文化会館の階段をその行列は途切れることなく、延々と最上階まで伸びていた!

夢じゃない!ましてや明日公開の『アヴァロン』狙いの徹夜組でもない!

会場が始まると待ちかねたトップ組が争うように最前列へ走る。ロビーは瞬く間に人・人・人・でごった返した。モギリで自らお客様をお迎えしていた中田秀夫監督(今イベントの元になったドキュメンタリー『サディスティック&マゾヒスティック』を監督)があまりの不器用さにモギリをクビになったらしく、喧騒の中、興奮した面持ちで立ち尽くしていた。

こうしてまさに「エクシタシー・ナイト」が始まった。


 レポートその1 〜ロマンポルノを1晩中見るために、オヤジとギャルが集まった!


 本日の司会はご存知、山本晋也監督。

 監督から立ち見で溢れた観客へ、開会の言葉が発せられた。

 始めてロマンポルノを見る人はという監督の質問に、3割程度の手が挙がった。

 見渡してみると、全体の3割から4割は女性の方、しかもおよそロマンポルノを見るとは思えないようなギャル!オヤジ的な喜びとは異なった世界を、ロマンポルノに発見する人々が生まれたのだと実感しました。

 もちろん昔からのファンらしき世代の方も沢山いらっしゃって、渋谷パンテオンという大劇場を余すところ無く埋めたロマンポルノファンの熱気に、監督の言葉も弾んでいる。

 第1部のゲストが紹介され、黒のシースルードレスに身を包んだ、風祭ゆきさんが満場の拍手の中、登場した。スレンダーな容姿は昔のまま、更に艶やかな色香が増したその姿に、パンテオンはたちまち華やいだ雰囲気に包まれた。


風祭:

 皆さんようこそおいで下さいまして、こんにちは。風祭ゆきと申します。
 こんなに沢山のお客様が遊びは他にも沢山あるのに、こちらを選んで大きなスクリーンで見ようって来て下さって本当に嬉しいです。楽しんでいって下さい。 

山本:  とにかくこの女優さんはですねえ、ホンっトによく犯されました。

風祭:  (笑)…。ホントにねえ。

山本:  なんでなんですかねえ、そうなっちゃうのは。

風祭:

 やっぱりボリュームがないんで、グラマラスなボディがあればいっくらでもセクシーなわけですけど、セクシーに映る為にはなんか苛めないといけなかったみたいですね。








続いて木築紗絵子さんが紹介された。

 ロリータ路線で後期のファンを熱狂させた木築さんは、しっかりと大人の女に変貌していました。

山本:  木築さんはどういった作品に出演されてました?

木築:  えっとですねえ、20本位あるんですけど、1番の代表作っていわれてるのが、サド・マゾ(中田秀夫監督『サディスティック&マゾヒスティック』)の題材になりました

 小沼(勝)監督の『箱の中の女』ですねえ。

山本:  『箱の中の女』ねえ。ユニークな素敵な作品でしたねえ。あなたとは、皆さん知らないと思いますけど日本テレビの『海賊チャンネル』で一緒だったんですよねえ。

 私は「ティッシュ・タイム」なんて馬鹿なことやってましたけど…(場内爆笑)。

木築:  (笑い)…。

山本:  TVで女の子がストリップの踊りやるんですけど、オナニーをスタートせよって秒数が出るんですよ。5秒前、4秒前、最後にどかーんって終わっちゃうんですけど、これはですね完全に当局につぶされました。そのときに…。

木築:  3人娘の1人で踊ってました。

山本:  私がティッシュを手裏剣みたいに投げるんですけど、まあよくあんなことやってましたよねえ。

山本:  私この間若い子に言われたんですけど、「監督って面白い芸名ですねえ…」って。

 「山本監督」という名前だと思われてるんですよ。ちなみに私が監督になったのは、ピンク映画というロマンポルノの5年位前にあった映画の世界があったんですけど、ピンクで1965年、東京オリンピックの後に監督になりました。








 続いて中田秀夫監督が紹介された。

山本:  今日はですね、中田監督になる前の助監督の頃の師匠の監督も来てらっしゃって、やりにくいというか、やりいいというか?

中田:  えー、まあおおむねやりにくいてす。

山本:  この方はですねえ、後で話に出るでしょうが、ある監督に助監督時代殺意を2回ですか?

中田:  3回、位です。

山本:  3回殺意を覚えたという、助監督というのは必ず監督に殺意を抱くという存在なわけですが、今日は沢山スタッフも見えてらっしゃるようです。

 私は『リング』見てホントに驚いて、隣で見てたカップルがすごいんだよ叫び声が、その声で椅子からコケそうになったという。自分で劇場で驚いたでしょう?

中田:  そうですね、初日に5、6館で見たんですが、やっぱりいいもんですね。お客さんの反応と一緒に見るのは。

山本:  映画監督の密かな楽しみなんですよね、封切りの日にこっそりと劇場の表で見るんですが、私の場合はいつも入ってないのばっかりでした。

  レポートその2 第1部トークショー〜中田秀夫はウミウシだった!

   ゲスト:風祭ゆき(女優)、木築沙絵子(女優)、中田秀夫(監督)

   司会 :山本晋也




 ロマンポルノの小沼勝監督についてのドキュメンタリー『サディスティック&マゾヒスティック』は、小沼監督の助監督であった中田秀夫が、当時のスタッフやキャストに取材する構成になっている。ロマンポルノの現場で両女優が何を体験したのか。


木築:

 『箱の中の女』の時に中田さんが助監督をしてらしたんですね。助監督さんって走り回ったりちょこまかやらないといけない仕事が多いんですけど、いつもね、ボーッとして…。

中田: (笑い)

木築:  …いるんだけど、ボーッとしている中にも、地に足がついているというか、何て言うんだろう悪い意味で言うと、図々しい?

全:  (笑い)

木築:  まあ、大物に?なりそうな雰囲気を醸し出してたんですよ。ふつうだったらビビッちゃうようなところをビビらずに平然としていられるような所があったような。

中田:  木築さんのおっしゃるようにあんまり動かないんで、しまいに装飾の方から「ウミウシ」ってあだ名がついたんです、あの深海に棲む。反応が3秒位遅れるんで。

 「ウミウシ中田」って呼ばれてて、そんなにいやじゃなかったです。

山本:  風祭さんは強烈に覚えている思い出ってありますか?やっぱり1本目?

風祭:  そうですねえ、1本目が私「赤い通り雨」っていう作品だったんですけど、それは痛い雨に当ったっていうのがけっこう強烈でした。

 2本目が小沼監督の「夫の目の前で、今…」なんですけど、大人の女、すごく成熟した大人の女を演じるのに、監督の要求がいろいろあって、腿とか背中を痙攣させろって言うんですね。どおやっていいか分からなくて、そんな演技指導がとても強烈でした。

山本:  僕が若松孝二監督の助監督やったときに、処女喪失で痛がるシーンがあったんですよ。男が入ってきた時に痛いってやるんだけど、女優さんが経験無い娘で出来ないって言うんですよ。で、若松さんよし分かったって言って、顔のアップにしてスタートかけた、で思いっきりその女優さんの腿をつねったんですよ。女優さん絶叫して、ハイオッケー。こんな演出もあるんだって思いました。

 痛い雨ってのはどんな雨だったんですか。

風祭:  雨がテーマになっていて、その中で暴行シーンがあるんです。大きくて綺麗に映る

 雨を降らせなきゃいけないから、弾丸みたいだったねって後でみんな言ってましたけど、皮膚に跡がつくぐらいの大雨で夏なのにがたがた震えるくらいに、それが忘れられませんね。

山本:  雨にシーンってのは現実のような雨じゃ、映像じゃ捉えてくれないんです。僕らはよく消防署に頼んでやりましたね。2台くらい来てくれるんですよ。ざあざあ原宿の駅前でやったりしましたけど、出てる方はたまんないですよね。

 中田監督はロマンポルノの末期の頃でしょ。

中田:  はい。僕が日活にはいって3年でロマンポルノは終わってしまいました。(19)85年ですね。

山本: ロマンポルノでは監督になれなかったわけだ。

中田:  そうですね。小沼勝監督のドキュメンタリーを作ろうと思ったのは、ロマンポルノに憧れて、ロマンポルノの監督になりたくて日活に入ったのになれなかったっていうルサンチマン、恨みつらみみたいなちくしょうというような、がどっかで根っこにあったのかもしれないと思うんです。

 ロマンポルノの助監督は実は7本しかやってないんです。その内の3本が小沼監督作品でした。

山本:  だいたいダメだって言われてる助監督の方が監督になる確率は高いんです。

 僕は3本しか助監督やってないんですよ。だから何にも分かんなかったんです。

 若松孝二さんの作品を5本くらい借りてきて、試写室にこもって情事シーンってどうやって撮るのかを研究しました。その頃まだ24ですからねえ、女性体験がほとんど少ないんですよ。プロデューサーがすごいんですよ、クランクインの1週間前にお前これから熱海行けって言うんです。何しにって言うと、いいからとにかくホン持って行けって言うんです。で、制作部に熱海行って何するんですかって聞いたら、「女買うんだ」って言うんです。お前さんは経験無いから、って。

 それで行きましたよ、私。しかし、人間不思議なもんでそんなこと頭にしてセックス出来ないですよ。

 そんな情事シーンの撮影なんかで、例えば映倫との戦いなんかは中田監督はあまり記憶無い?

中田:  僕はロマンポルノの助監督としてはサードで終わっちゃったんで、そういうミーティングにも出ませんでしたし、監督になってからはVシネマでビデ倫の方と話はしましたけど。
山本:  映倫の規定で、「性器・陰毛はこれを描写しない」とあるんですよ。両方とも描写したくてたまらないわけです。それで、ドイツ・ハイデルベルク大学医学部編纂の「臨床応用解剖図々」ってのがあるんです。人体を全部手書きできれーいに描いてあるんです。

 その性器をアップで撮りましたね。

 陰毛については、事が終わった男が、(シーツの陰毛を拾い上げる動き)、ってやるんです。これは俺んだな、でまた拾う。あっ、これは彼女んだ。

 芝居だけですよ、ホントに持ってるわけじゃない。

 それが、(陰毛が)映ってたって見た人が言うんです。陰毛が見えたって。

 尺数でも、映倫ビデ倫ってのは色々言うんですよね。

中田:  ええ、わざと思いっきり長くそのシーンをつけて、文句言わせて、切るみたいな小ズルイことをやったりしました。

山本:  切らせるためのカットを撮っとくんですね。

中田:  小沼監督も、例えば「男性器がシルエットだったらいいんじゃないか」、とかバイブレーターが入っていくところを撮りたいのに、「俺たちは17年間これだけの本数を撮ってるのに入っていくところを撮れないのは何故だ」、って怒鳴ってたりしました。

 要するに丸ごとのバイブレータと半分に切ったバイブレーターを撮ってその間に女優さんの顔を入れる、っていう手法を17年繰り返してきてる、それは許せんと怒鳴ってらっしゃったのをよく覚えてます。僕も監督になったらそのあたりを表現したと思ってましたし、シルエットの男性器は『リング』で一瞬映ってるんです、もちろんニセ物ですけど。

山本:  影はよくやりましたよね。女の顔にですね影が出る、ではっと驚くっていう顔のアップなんですよ。ペニスの影がぱっと顔に出るんですよ、こんなに(30センチ位)。

 そんなデカイ奴はいないっつうの。(笑)

 山本監督の軽妙な語り口とゲストの思い出話に会場は和んだ雰囲気で、1部トークショーは終わった。そしていよいよパンテオンの大スクリーン一杯にかつての日活マークが力強くひろがり、本日の1本目『実録・阿部定』(田中登監督、宮下順子主演)が上映された。

(続く)

※次回はゲストに小沼勝、田中登、小原宏裕、荒井晴彦、金子修介、じんのひろあき、相米慎二、中原俊、中田秀夫、を迎えた、各々勝手に飲んだくれながらの第2部フリートーク採録です。
 上品な女優さんの第1部とは違って、単なる居酒屋状態と化した、深
夜のパンテオンで語られた赤裸々なロマンポルノの真実?乞うご期待!

戻る

© 2001 日活株式会社 ©2001 Nikkatsu Corporation. All rights reserved.
本サイト上の画像・文章等全ての著作物の無断使用を禁ず。
必ず利用規約をお読み下さい。