「その日、私はロマンポルノに出会った」~「ロマンポルノ」アンケート

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井端珠里(いはた・じゅり)

1987年9月9日生まれ。東京都出身。2歳でキッズモデルとしてデビュー後、98年にCX「眠れる森」で女優デビュー。声優、歌手としても活躍している。近年の主な出演作として『ローリング』(15)、『グッド・ストライプス』(15)『走れ、絶望に追いつかれないはやさで』(16)、舞台「罠」(16)、『断食芸人』(16)など。

井端珠里(いはた・じゅり)

はじめての(または記憶に残っている)ロマンポルノ体験はどのようなものでしたか?

年月: 2004か2005年?

18歳の時、映画を毎日何本も何本も貪り観ていたとき、映画に詳しい友人から「まだ観てないなら日活ロマンポルノを見た方がいい」と薦められて神代監督の『赫い髪の女』を観たのが初めて。「ああ女性って美しい」が第一印象でした。ダメな男たちを次第に受け入れていく美しさ、弱さ、強さ。既に女優だった私としては先輩女優の皆さんが女性ならではの美しさを武器にされているのがとてもかっこよく映りました。
さすが新進気鋭の監督たちが撮っていただけあって、どの作品もとても実験的で新しく、面白く、普通の映画として観ていました。
そして生々しさと品の良さを兼ね備えていて、ただのポルノではない。ロマンポルノ、であるという所にもなんとも文学的な魅力を感じて、私たちの時代では観れない、おしゃれなレーベルだなと思いました。

お好きな作品、監督、俳優は?どんなところがお好きでしょうか。

作品: 『牝猫たちの夜』
監督: 田中登監督
俳優: 宮下順子さん、美保純さん、白川和子さん

『牝猫たち』で役設定の枠組みをお借りした、田中登監督の『牝猫たちの夜』は白石監督にお会いするまで観たことがなかったのですが、とても面白かった。冒頭の風俗嬢3人が口いっぱいにご飯を詰めながら会話をするシーンが大好きです。食べて、笑って、仕事で知らない男性とセックスして、でも好きな男性がいて、傷ついて、夢を見て、泣いて、愛を求めて。生きている。どんな状況下にあったって、心がボロボロだって、歩くしかない、今を生きるしかない。
あと『㊙色情めす市場』も傑作ですよね。すっかり田中登監督のロマンポルノファンになりました。

好きな女優さんは、宮下順子さん、美保純さん、そして、白川和子さん。団地妻シリーズは当然拝見しておりましたし、抜群の美しさと可愛らしさ、艶っぽさ、どこを取っても好きです。
今回『牝猫たち』で共演させて頂いて、本当に光栄な上に、緊縛シーンで、痛みで涙が止まらなかった私を優しく受け止めて抱きしめてくれた白川さん。
若い頃日活ロマンポルノを切り開いた女優として沢山のご苦労をされていたことを伺って、私を抱きしめてくださった時「これからはあなたたちの時代、がんばるのよ」と言ってくださったあの言葉の重みが更に響きました。私も白川さんのように美しく、そして逞しく、大きな愛を持って後輩を抱きしめられるような女優さんになりたい。

45周年記念リリース、ブルーレイ&DVDタイトルの中から、お薦めのタイトルとコメントをいただけますでしょうか。

『夜這い海女』『実録白川和子 裸の履歴書』『好色家族 狐と狸』が観たいです。 タイトルに自分の名前が入るって、すごいなぁ。日活ロマンポルノ作品のタイトルってすごく面白かったり、詩的だったり。全部日活の社員さんが付けていたと聞いた時は驚きました。すごいセンス!私も付けてみたいです。

新しいロマンのヒロインを演じられましたが、どのような所を見ていただきたいでしょうか?

大ファンだった白石監督と大好きな日活ロマンポルノのコラボ。まさか自分が主演を飾らせて頂くことになるとは夢にも思っていませんでしたので、決まった時はとても嬉しくて、部屋で一人小躍りしたのを覚えています。
白石組『牝猫たち』、私たちの作品は冒頭にある一言のテロップ通り、女性たちに向けられた作品だと思います。
出てくる男性はダメな男たちばかり。
それでも私たち女は受け入れる。
20代、30代、40代と、全く感じ方が違う作品になると思います。
勿論、男性にも楽しんで頂ける作品で、女たちの男に見せない部分をのぞき見する感覚に、そして女性を抱きしめたくなるような感覚になってくれるんじゃないかなぁと。
さすが白石監督、様々なシビアな現実問題とコメディ要素のバランスが最高で、本当に面白く、またグッと胸が締め付けられてしまう作品です。 白石監督の愛がこもった作品、女性のお客様はきっと感じてくれるはず。
個人的には痩せないように増量してくびれだけ筋トレして腰周りのシルエットが綺麗になるように気を使ったので、ご注目いただけたら嬉しいです。ふふ。

ロマンポルノの、ロマンってどんなことでしょうか?

ロマン‥男性が女性に求めるもの、女性が男性に求めるもの、女性が女性に求めるもの、男性が男性に求めるもの、それはいつの時代だって変わらず、答えもとても簡単なはず、だけど私たちは何時だって複雑にしてしまう。
その回りくどさって、邪魔くさいけどとても文学的で、可笑しくて、夢があって‥‥まぁ、ロマンってなんか、そうゆうことじゃないかな‥と思います。
言葉を上手に使って表せなくて、ごめんなさい。
私が言葉で表せないそれをギュッとポルノと組み合わせた、キッチュでエロティック、サディスティックな、男たちと女たちの様々な愛のかたちを描いた作品たち、まだ観れていない作品も沢山あるので、リブートプロジェクトを機に、文学的エロティックの海にどっぷりと浸かりたいと思います。

間宮夕貴(まみや・ゆき)

1991年3月9日生まれ。愛知県出身。モデル、タレント、女優として活躍している。近年の主な出演作として『甘い鞭』(13)、『ちょっとかわいいアイアンメイデン』(14)、『GONINサーガ』(15)、『屋根裏の散歩者』(16)など。

間宮夕貴(まみや・ゆき)

はじめての(または記憶に残っている)ロマンポルノ体験はどのようなものでしたか?

スイスのロカルノ国際映画祭で見た「恋人たちは濡れた」です。
日本から遠く離れた場所で、全く日本人がいない中で、世界の方々が集中して見ている雰囲気がとても印象に残っています。
作品内で嵐の中、情事がおこなわれるシーンの中、映画館の外でも嵐がきており、本編の中なのか実際に起きている音なのかわからなくなり、自分自身が作品の中にいる人物になった気持ちになる不思議な体験もしました(笑)。

お好きな作品、監督、俳優は?どんなところがお好きでしょうか。

作品: 『悶絶!!どんでん返し』
俳優: 鶴岡修

神代監督の作品が好きで、この作品を見た時は衝撃的でした。
鶴岡さん演じる俊男が男に襲われて女に目醒める姿が本当に素晴らしいです。
ケーキのぶつけ合いが私の中では、ツボでした。
映画館で見たのですが、声を出して笑うことは大切だなと思いました。

45周年記念リリース、ブルーレイ&DVDタイトルの中から、お薦めのタイトルとコメントをいただけますでしょうか。

お薦めタイトル: 『セックスハンター 性狩人』

カルトだったり、バッドエンドの作品が好きなので、予告編を見てそんな気配がしたので、興味津々です!!

新しいロマンのヒロインを演じられましたが、どのような所を見ていただきたいでしょうか?

「風に濡れた女」は男と女のバトル作品です。傷だらけになりながらも楽しく、言葉通りの体当たりで挑んでいるので、皆様はとてつもなく気軽に見て頂ければと思います。

ロマンポルノの、ロマンってどんなことでしょうか?

見えない部分を、頭の中で必死に透かす気持ちや、性は言葉が無くとも通じ合う、という所が、ロマンなのではないかと思います。

芦那すみれ(あしな・すみれ)

大阪府出身。2015年、本広克行演出/平田オリザ作の舞台「転校生」で女優デビュー。TBS「ディアスポリス 異邦警察」では謎のハッカー「ラニーニャ」役で話題に。BOMIという名でミュージシャンとしても活躍中。『ジムノペディに乱れる』は長編映画初出演になる。

芦那すみれ(あしな・すみれ)

はじめての(または記憶に残っている)ロマンポルノ体験はどのようなものでしたか?

場所: 渋谷シネマヴェーラ
年月: 2015年5月
作品: エロスの誘惑

プロデューサーである伊地智啓さんの特集上映で、ロマンポルノに初めて触れました。タネ演じる中川梨絵さんのふくよかな肢体と、さんざんある男に振り回された彼女が彼と別れ、最後に車の窓から颯爽とカーネーションを笑顔で投げ捨てるシーンが強く印象に残っています。かっこいいなぁ!って。

お好きな作品、監督、俳優は?どんなところがお好きでしょうか。

作品: 『一条さゆり・濡れた欲情』

当時の街並みを見ているだけでもグッとくるのですが、この映画は全くわたしの世代には身に馴染みのないストリップ劇場が舞台なので、時代をタイムスリップするようなファンタジー感があります。そこで描かれる、女性達のはすっぱな、それでも生きてゆく、強さ。「なかなかなんけ?なかなんけ?」というついつい口ずさみたくなる浪曲も、異国情緒を強める。好きです。

監督: 藤田敏八監督

「エロスの誘惑」もそうですが、藤田さんが監督された「エロスは甘き香り」の桃井かおりさんを見て、(わたしは桃井かおりさんが大好きだったので)今回のオーディションを受けよう、と決めたのも事実です。
衣装デザインなどに凝っていたり、一見ギョッとするような演出にも果敢に挑戦しますが、何処かチープな感じも共存する感じが、ロマンポルノらしく親しみやすくて好きです。

俳優: 伊佐山ひろ子

はすっぱな感じが好きです。

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お薦めタイトル: 『夜汽車の女』

タイトルがいい

新しいロマンのヒロインを演じられましたが、どのような所を見ていただきたいでしょうか?

板尾さん演じる古谷監督の、見事なまでのダメっぷりを楽しんで頂きつつ、結花の、奔放ながらどこか寂しがりの、まるで猫のような感じを楽しんで頂けたらと思います。

ロマンポルノの、ロマンってどんなことでしょうか?

ロマンというのは…:失われたものへの郷愁

岡村いずみ(おかむら・いずみ)

1989年12月25日生まれ。神奈川県出身。慶應義塾大学卒業後、女優としてテレビ、舞台、映画などに出演。TV:「たべるダケ」(TX)、「ダークシステム」(TBS)、「グーグーだって猫である」(WOWOW)、「ウーマン・オン・ザ・プラネット~オースラリア縦断旅~」(NTV)、大河ドラマ「真田丸」(NHK)、映画「かしこい狗は、吠えずに笑う」(第34回PFFぴあフィルムフェスティバル入選)、「みんな!エスパーだよ!」、舞台:江古田のガールズ「楽屋」、渋谷ハチ公前「とりわける人たち」、東京マハロ「エリカな人々」などに出演。

岡村いずみ(おかむら・いずみ)

はじめての(または記憶に残っている)ロマンポルノ体験はどのようなものでしたか?

場所: テアトル新宿
年月: 2016年9月

今回作品に携わらせていただくことになるまで、ロマンポルノは存在こそ知ってはいましたが、観たことはありませんでした。「ジムノペディに乱れる」の撮影を終え、日活の方に何本かおすすめを聞き家で観ましたがどれも芸術的で、その時代の空気や匂いをそのまま閉じ込めたような世界観に魅了されました。
自宅で観てこれならば、劇場で観たならどんな体験ができるのだろう。そう思い調べてみると、たまたまテアトル新宿にて、「嗚呼!おんなたち 猥歌」がイベントで上映されることを知り、そわそわしながら足を運びました。 満席の劇場で、名前も知らない人たちと共に観るロマンポルノ。作品はというとものすごく面白く、まさに笑いあり涙あり… とにかく、最高に印象に残る場面ばかりでした。
そして何より印象的だったのは、場内の空気でした。ロマンポルノを観に来ている、という前提も手伝ってか、いつも来ている劇場とは別世界のように感じました。老若男女、目を背けることなくスクリーンの情事に夢中になる… 夢中になってはいるけれど、ふと周りを意識すると、なんだかちょっとだけ気恥ずかしくなる。この独特の感覚は、ロマンポルノ以外ではなかなか味わえないのではないでしょうか。

お好きな作品、監督、俳優は?どんなところがお好きでしょうか。

作品: 『㊙色情めす市場』

薦めていただき、初めて観たロマンポルノ作品でした。頭をカーンっと殴られたかのような衝撃でした。 ストーリーはもちろんですが… その時代、あの場所にこの人たちは本当にいたのだと思わせる説得力、画面を通して同じ空気を吸っているかのような臨場感に丸ごと呑み込まれました。 モノクロで映される、どこか異世界のようなドヤ街の映像に突如色がついた時には、鳥肌が止まりませんでした。力強くも物悲しい、濃厚な人生が描かれていたように思います。

監督: 神代辰巳監督

「一条さゆり 濡れた欲情」「恋人たちは濡れた」「赫い髪の女」、そして前述の「嗚呼!おんなたち 猥歌」など…。こんな見せ方、こんな表現の仕方があるのかと、ハッとさせられる演出のオンパレード。何度観ても、新しいなと思わせてくれます。

俳優: 宮下順子さん

多くのロマンポルノ作品に出演し、今も活躍されているということで、やはり強い尊敬と憧れを抱きます。
「赫い髪の女」で、心に何かを抱えながら家で男の帰りを待ち、ひたすら快楽に溺れる謎の女の役がとても美しく、印象的でした。インスタントラーメンも上手に作れないの…というシーンがたまらなく好きです。

45周年記念リリース、ブルーレイ&DVDタイトルの中から、お薦めのタイトルとコメントをいただけますでしょうか。

お薦めタイトル: 『悶絶!! どんでん返し』

行定勲監督おすすめの「悶絶!! どんでん返し」は是非観てみたいです。ストーリーがとにかく魅力的で、気になっています。

新しいロマンのヒロインを演じられましたが、どのような所を見ていただきたいでしょうか?

「ジムノペディに乱れる」には、一人の男性をめぐって何人もの女性が登場します。その女性達と主人公との濡れ場の美しさを楽しむのはもちろん、男性でしたらどの女性が、どの女性とのシチュエーションが好みかな…? 女性でしたら、どの女性に一番感情移入できるかな、といった見方をしてみても楽しんでいただけるかなと思います。
でも、やはり一番は全体を通してのストーリー。ロマンポルノならではの、十分に一度絡みを設けるという制約があるからこそ描かれた情事の数々。そしてそこから見えてくる主人公の葛藤と切なさ。その意味がわかった時に感じる気持ちを楽しみに、最後まで観ていただけたら嬉しいです。

ロマンポルノの、ロマンってどんなことでしょうか?

物語、でしょうか。ただの「ポルノ」と「ロマンポルノ」とでは、受ける印象が全く違います。ロマンポルノには物語があります。情事に至るまでの物語と、それを見せることだけが目的ではない、しっかりとしたメッセージがある。人間同士の良いところも悪いところも、全てが詰まった、人生という名の物語… そんな感じがします。

ロマンポルノリブートに参加された感想

最初、ロマンポルノという言葉を聞いた時は正直少し戸惑いました。ポルノ、という単語の持つパワーに気圧されたのだと思います。
しかし冷静に考えてみると、ロマンポルノは現在の日本映画の礎を築いたと言っても過言ではない、若手監督や俳優にとっては登竜門だったもの。映画俳優を目指して活動をしてきた私にとっては、もしかしたらまたとないチャンスなのでは、と思い直しました。
実際に出演してみて、やはりやってよかったと心から思えています。
性欲は人間の三大欲求のひとつ。生きていれば避けては通れないもの。様々な人の人生を疑似的に生きる仕事である俳優としては、むしろ積極的にチャレンジするべき題材なのかもしれない…とも思います。
濡れ場をきちんとした文脈の中で描くロマンポルノのルールの下では、人間同士の心の交流を、綺麗な部分のみならず汚い部分も包み隠さず、よりリアルに描ける。だからこそ観る側もより共感しやすく、長い年月がたっても愛される名作が数多く生まれるのではないでしょうか。

大きなチャンスと貴重な経験をさせていただけたと、感謝の気持ちでいっぱいです。
たくさんの方に、作品が届きますように。そして、ここから大きく羽ばたいていけるよう、精進してまいります。

塩田明彦(しおた・あきひこ)

1961年、京都府生まれ。立教大学在学中より黒沢清、万田邦敏らと共に自主映画を制作。その後、多数のロマンポルノ作品で脚本を手掛ける大和屋竺の下で脚本を学ぶ。劇場映画デビュー作『月光の囁き』(99)と『どこまでもいこう』(99)がロカルノ国際映画祭に正式出品。2001年、宮崎あおい主演『害虫』(02)でナント三大陸映画祭審査員特別賞・主演女優賞を獲得する。『黄泉がえり』(03)、『どろろ』(07)が興収30億円を超えるヒットを記録するなどメジャー大作も多数手掛ける。 著書に『映画術・その演出はなぜ心をつかむのか』(イーストプレス)、『映画の生体解剖×映画術 何かがそこに降りてくる』(Amazonにて電子書籍として販売中)など。近年の作品として『抱きしめたい』(14)などがある。本作が第69回ロカルノ国際映画祭の国際コンペティション部門へ正式招待され「若手審査員賞」を受賞。

塩田明彦(しおた・あきひこ)

はじめての(または記憶に残っている)ロマンポルノ体験はどのようなものでしたか?

場所: 京成千葉駅近く
年月: 1970年代中頃

兄が京成千葉駅前の二番館で『ダーティハリー』をやるというので放課後ひとり出かけたら、看板に大きく女性のヌードが描かれていて、真っ赤な文字で『ダーティマリー』とある。迷いましたが、窓口で「ダーティハリー1枚」と言うと、受付の女性は「ダーティマリーですね?」と聞き返してきます。身を固くして「ダーティハリー1枚」と言い続けると、女性はついにチケットを売ってくれました。映画館の暗闇に深く身を潜めた午後でした。

お好きな作品、監督、俳優は?どんなところがお好きでしょうか。

作品: 『女の細道・濡れた海峡』
監督: 武田一成

武田一成監督はこの一作しか観ておらず、これから積極的に見直したい監督のひとりです。日本映画の70年代、特に日活ロマンポルノが描き出した世界を象徴する言葉のひとつが「やるせない」だと思うのですが、いまは死語と化しつつあるこの「やるせない」感情が『女の細道・濡れた海峡』には溢れています。男と女のやるせなさ、生きることのやるせなさ、遠くのあの人ではなくすぐそこにいるこの男の肌の温もりをもとめてしまうやるせなさ。あいつが一番大事なのにこの女のことも大事になってしまうやるせなさ。生と死の狭間は近いようで遠く、遠いようで近い。海峡は今日も静かにざわめいている。

45周年記念リリース、ブルーレイ&DVDタイトルの中から、お薦めのタイトルとコメントをいただけますでしょうか。

お薦めタイトル: 『発禁本「美人乱舞」より・責める!』

一度目は羞恥極まるSMプレイとして、二度目はどうしようもなく溢れる愛の共同作業として演じられる宮下順子と山谷初男の放尿場面が胸を突く。映画史上最高の"放尿エクスタシー"映画。

白石和彌(しらいし・かずや)

1974年、北海道生まれ。95年に中村幻児監督主催の映像塾に参加。以後、若松孝二監督に師事し、フリーの助監督として活動。若松孝二監督『明日なき街角』(97)、『完全なる飼育 赤い殺意』(04)、『17歳の風景少年は何を見たのか』(05) などの作品へ助監督として参加する一方、行定勲、犬童一心監督などの作品にも参加。初の長編映画監督作品『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(10)に続き、長編第2作となるノンフィクションベストセラーを原作とした『凶悪』(13)が、国内の映画賞を席巻。『日本で一番悪い奴ら』がニューヨークアジア映画祭のオープニング作品として上映された。又吉直樹原作「火花」のNETFLIX配信ドラマの監督を務めている(3話、4話担当)。

白石和彌(しらいし・かずや)

はじめての(または記憶に残っている)ロマンポルノ体験はどのようなものでしたか?

場所: 自宅
年月: 10代の若い頃
作品、思い出: 桃尻娘

いったい何が始まるんだ、という期待と不安と背徳感でドキドキしながら見たのを覚えてます。エロい気持ちを盛り上げるために見たのに、次第に自分の欲望はどこかに行き、映画の中の少しだけお姉さんの物語に夢中になっていました。

お好きな作品、監督、俳優は?どんなところがお好きでしょうか。

作品: 『㊙色情めす市場』
監督: 田中登
監督: 芹明香

芹明香さんが西成のドヤ街を歩く姿だけで、女性の儚さや美しさ、崇高さを見たような気がしました。芹さんの姿、ずっと携帯の待ち受け画面にしてました。僕の永遠のヒロインです。

ロマンポルノの、ロマンってどんなことでしょうか?

生きていくために必要な愛とか、そのために見る夢とか。時には挫折して苦しむことも人生には必要で、たぶんそんなことがロマンなのかなと。

45周年記念リリース、ブルーレイ&DVDタイトルの中から、お薦めのタイトルとコメントをいただけますでしょうか。

お薦めタイトル: 『悶絶!!どんでん返し』

とんでも設定と次々とひっくり返る展開を力技でねじ伏せていくコメディ。この作品をリメイクしたい!という声を、少なくとも3人の監督から聞いた。

園子温(その・しおん)

1961年、愛知県生まれ。87年、『男の花道』でPFFグランプリを受賞。PFFスカラシップ作品『自転車吐息』(90)は、ベルリン国際映画祭正式招待のほか、30以上の映画祭で上映された。他『愛のむきだし』(08)で第59回ベルリン国際映画祭フォーラム部門カリガリ賞・国際批評家連盟賞を受賞、『冷たい熱帯魚』(11)で第67回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門・第35回トロント国際映画祭ヴァンガード部門、『恋の罪』(11)で第64回カンヌ国際映画祭監督週間に正式招待される。『ヒミズ』(12)では、第68回ヴェネチア国際映画祭にて主演二人にマルチェロ・マストロヤンニ賞をもたらした。近年の作品として、『TOKYO TRIBE』(14)、『新宿スワン』(15)、『ラブ&ピース』(15)、『リアル鬼ごっこ』(15)、『映画 みんな!エスパーだよ!』(15)、シオンプロダクション製作第1作目となる『ひそひそ星』(16)などがある。

園子温(その・しおん)

はじめての(または記憶に残っている)ロマンポルノ体験はどのようなものでしたか?

場所: 映画館 豊橋にっかつのロマンポルノの劇場
年月: 高校3年くらい?

『天使のはらわた 赤い淫画』池田敏春、けっさく。池田作品は全部みている。

お好きな作品、監督、俳優は?どんなところがお好きでしょうか。

作品: 『天使のはらわた 赤い淫画』
監督: 池田敏春
俳優: 泉じゅん

45周年記念リリース、ブルーレイ&DVDタイトルの中から、お薦めのタイトルとコメントをいただけますでしょうか。

お薦めタイトル: 『スケバンマフィア 肉刑 リンチ』 『SEX HUNTER 性狩人』 『天使のはらわた 赤い淫画』

池田監督は、たくさんみたロマンポルノの中で、一番エロティックに妖しく女体を撮る天才。

中田秀夫(なかた・ひでお)

1961年、岡山県生まれ。東京大学卒業後、にっかつ撮影所に入社。小沼勝監督や澤井信一郎監督らの下で助監督として経験を積み、92年、TVドラマ「本当にあった怖い話」シリーズを演出する。96年に『女優霊』で映画監督デビューを果たし、その後『リング』(98)、『リング2』(99)で日本映画界にホラーブームを巻き起こす。その後ハリウッドに招かれ、『ザ・リング2』(05)を自ら監督する。以降もイギリスで『Ch@troom』(10)など、国内外で活躍。近年の作品として『クロユリ団地』(13)、『MONSTERZモンスターズ』(14)、『劇場霊』(15)、第40回香港国際映画祭Beautiful2016部門の四本の短編映画の一本である『鎌倉にて』(16)などがある。

中田秀夫(なかた・ひでお)

はじめての(または記憶に残っている)ロマンポルノ体験はどのようなものでしたか?

場所: 三軒茶屋映劇(当時ロマンポルノ二番館)
年月: 1980年4月
作品、思い出: 『スケバンマフィア 肉刑(リンチ)』

ロマンポルノは少年時代、日活の映画館前を通り過ぎるだけで恥ずかしかった。大学に入り、このロマンポルノを寮の仲間と見に行き、初めての女性の「動く裸体」、アグレッシブなSEX描写に、心身ともに興奮。その火照りを冷ますため、観た後、彼らと熱く語らいました。

お好きな作品、監督、俳優は?どんなところがお好きでしょうか。

作品: 『天使のはらわた 赤い教室』『生贄夫人』『少女娼婦 けものみち』『発禁本美人乱舞より 責める!』
監督: 小沼勝、田中登、神代辰巳、武田一成
俳優: 坂本長利、蟹江敬三、宮下順子、絵沢萌子

ロマンポルノをホームグラウンドに、監督も俳優さんたちも、その自由闊達な(ただし予算やスケジュールはタイトな)製作現場で、修練され、その後活躍の場を広げていかれた。私は上記の方々と武田監督以外のすべての皆さんとご一緒できて大変幸福でした。

45周年記念リリース、ブルーレイ&DVDタイトルの中から、お薦めのタイトルとコメントをいただけますでしょうか。

お薦めタイトル: 『オフィスラブ 真昼の禁猟区』

私が助監督一本目で就いた作品。当時の赤坂麗さんの人気は絶大でした。世はバブルに差し掛かりつつあった1985年、切れるOLの赤坂さんの靴音の効果アフレコを手伝った記憶がまざまざと蘇ります。

行定勲(ゆきさだ・いさお)

1968年、熊本県生まれ。長編第一作『ひまわり』(00)が第5回釜山国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞。『GO』(01)で、日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめ国内外で50もの賞を受賞。『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)が観客動員620万人、興行収入85億円、その年の邦画1位を記録する大ヒットに。10年には『パレード』が第60回ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。近年の作品として、『円卓』(14)、『真夜中の五分前』(14)、『ピンクとグレー』(16)、熊本を舞台にした『うつくしいひと』(16)など。また今後はアジア・オムニバス映画『アジア三面鏡』(今秋公開)、『ナラタージュ』(来秋公開予定)などがある。

行定勲(ゆきさだ・いさお)

はじめての(または記憶に残っている)ロマンポルノ体験はどのようなものでしたか?

金子修介監督の『濡れて打つ』

宇能鴻一郎原作の官能小説で、『エースをねらえ!』のロマンポルノ版でもありコメディとも言える作品。中学生か高校生の頃見たので、例えばパンチラや部室でのセックスなど、爽やかでコミカルな、明るさに満ちた世界が印象的でした。だからまさかロマンポルノにこんなに暗部というか、奥深い世界が広がっているとはそのときは思いもよりませんでした。

お好きな作品、監督、俳優は?どんなところがお好きでしょうか。

女優: 風祭ゆき、和泉じゅん、芹明香、水原ゆう紀
監督: 神代辰巳、相米慎二

45周年記念リリース、ブルーレイ&DVDタイトルの中から、お薦めのタイトルとコメントをいただけますでしょうか。

お薦めタイトル: 『悶絶!!どんでん返し』

神代監督の名作はたくさんあると思いますが、数ある中でもこの作品は滑稽にも見える人間関係、それは何かというと、男が男とまぐわう事で女性としての受け身の歓びに目覚め、女化していく、そして男と男と女が入り乱れた三角関係に陥るという観た事ない人間関係を描いた作品です。 人間の、自分の性に対する発見と生命力の発露が如実に描かれたぶつかり合いが面白い。そして映画の物語としても面白く、性別を超えて、絡み合う展開。これこそが日活ロマンポルノの自由度を表していると思います。

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